それぞれの漢気

タイチの漢気

タイチにとってのアイアンフィンガーとは何なのか?

それがハッキリと伝わるこのタイトルマッチと前哨戦。以前の記事にも書いたように、なんとなく大暴れしているようで、実は緻密なゲームプランを立てているように見えるタイチとザック。

しかし、この試合ではそんなものは微塵を見えない。ただ怒りを振りかざし猪突猛進するタイチ。当然ローンバトルが続く。テンポの良いタッチワークに定評のあるGoDが、スタミナを残しながら有利に試合を運ぶのは必然だ。

息が上がり、明らかにスタミナが落ちているタイチ。それでも爆進を止めない。絶対にアイアンフィンガーを取り戻すと言う気迫だけがタイチを支えていたのだろうか?

Photo by NJPWphile

なぜ、そこまでこだわるのか?もちろん本当のところは分からないが、タイチが引き継いだのは単なる反則グッズとしてでは無く、もちろん飯塚の魂だからでしょう。

話はいったん、飯塚引退の日にさかのぼる。

いつも通りに、狂った怨念坊主を演じる飯塚。実はサンボマスターであることはオールドファンなら誰もが知っているところ。元々の優しい人柄が仇となってしまったのか、若い頃のベビーフェイスの時代はパッとしない選手だったがヒールターンして一気にブレイク。

何も語らず、元の姿に戻ることも無く、自身の幕引きをしようとした時にタイチが突如、マイクで吠える。

飯塚!オマエ、本当にこれでいいのか!

「話さないまま、怨念坊主としてのキャラで終わっていいのか?」と言いたかったのか、それとも「まだまだやれるのに引退となってしまっていいのか?」と言いたかったのか?いずれにしても、飯塚に感謝しても感謝しきれない気持ちに溢れたマイクパフォーマンス。

そんな魂と感じているアイアンフィンガーが戻ってきたことで、色んな感情が爆発したのか、だれかれ構わず攻撃をするタイチ。それを必死で止める金丸とザック。

もちろんプロレス的なパフォーマンスと言うこともあるのでしょう。でもタイトルを奪取することよりも、アイアンフィンガーを取り戻すことに全力をかけたタイチは、試合には負けたけど勝負には勝つことができたと言えるでしょう。

ザックの漢気

そんなタイチの暴走を止めるでも否定するでも無く、全力でサポートするザック。タイチを休ませるべく、1人で2人を相手にし続ける。タッグワークとしては最悪なシチュエーション。

得意とする関節技を長く仕掛けることができれば、相手のスタミナを奪いつつ、自身のスタミナ回復ができる。それがザックの必勝パターンではあるけれども、タッグではそれは通用しない。何度も荒々しいカットを受けて、吹き飛ぶザック。

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コロナでこれからどうなるか分からない状況で、異国の地である日本に残ることを選択したザック。それを意気に感じて色々と気遣ったであろうタイチ。GoDの兄弟の絆は強固でしょうけど、この2人の絆も負けてはいない。

いったんシングル戦線に戻ることを決意した2人。こうなると、やはり見たいのはNew Japan Cupでのシングル対決。行われるとすれば、おそらく初対決。この2人が対角に立った瞬間と、試合が終わった瞬間にどんなドラマが生まれるのか!?想像するだけで少し涙が出ます(笑)。

SHOの漢気

最愛の実兄の死と、兄のように慕い共闘してきたYOHの長期離脱。どちらも悲しい出来事ではあるが、それがSHOを大きく成長させたことは昨年の大活躍からも十分に分かる。

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そして遂に挑戦するIWGPジュニアヘビーのタイトル。

NEVER挑戦が先になってしまったのはSHOらしいところではあるが、ジュニアである以上、最高のベルトと言えるでしょう。

そして今回の試合に向けて、SHOは少しウエイトを落としたように見える。

昨年のコロナ禍における異常事態では、ジュニアvsヘビーのカードが日常的に組まれるようになり、自身のPodcastでも「対ヘビー仕様でウェイトを上げた」と言っていたが、今回、もし下げたのだとしたら、それはヒロムのスピードへの対策としてでしょう。

体型を維持することですら大変な努力を積み重ねているのでしょうが、相手に合わせて自身の身体を自在に変えてくるなんて、まるでカメレオン俳優のよう。

CGやメイク技術が今ほど発達していない昭和時代には、例えば松田優作さんは原作の病的なキャラに合わせるために、颯爽とした刑事時代の格好いい体型を捨てて、青白い貧相な体型に。それだけでなく、奥歯を抜いてげっそりとした顔の輪郭を形成。当時のインタビューによると「足を切って短くできないか?」とまで言っていたとのこと。

もちろんプロレスでそこまでやる必要は無いが、体型を変えてまで試合に臨む姿勢は、私生活全てを注ぎ込む覚悟をSHOには感じる。

ヒロムの漢気

そんなSHOの気持ちを察してか、直前のバックステージコメントでは「背負ったものを全部捨てて来い!」と言ったヒロム。

背負うことでの強さがあることは分かった上で、「素の自分で無ければ100%の表現ができない」ということを言いたかったのか。表現者として超一流と言っていいヒロムが、ユニットが違うとは言え、同い年のライバルに贈る精一杯のエール。

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そんな2人の、途切れることの無く激しい続いた35分のバトルは、もちろん感動の名勝負でした。

今まで小馬鹿にして見下していたデスペラードが、遂にSHOの対角に自ら立とうとする様子から、それはまざまざと伺えます。

そして、YOHとの差はどんどん離れていく。ドラゴン殺法はベビーフェースの代名詞であり、明るいキャラのYOH。そのYOHのヒールターンがあり得るのか?となれば、その姿はアナキン・スカイウォーカーからダースベイダーに変わったかのような衝撃と哀愁があるのでしょう。

現時点(2/12)ではまだカード発表されていない次のシリーズ。どうなるのか楽しみです!

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