神宮:卓越したゲームプラン

前回ブログでは感情が前面に出たアツい試合にフォーカスしたHot Sideのブログでしたが、今回はゲームプランの分析にフォーカスした Cool Sideでお送りしたいと思います。

取り上げる試合はKOPW決勝と、IWGPヘビー級タッグタイトルマッチです。

4wayの戦い方

4wayの試合の場合、常に2組だけがリングで戦って、残りは強引にタッチしないと試合権利がもらえない、と言う方法もありますが、今回は4人全員がリングで戦ってOKの試合形式。

出場者がオカダ・SANADA・デスペラード・矢野と言う中で、各々の選手はどのようなゲームプランを持っていたのでしょうか?もちろんこれは推測です。

オカダのケース

このメンバーの中では普通に戦えば最も勝率が高いと思われる選手。場外に二人の選手が転がっている間に残りの一人の選手を変形コブラクラッチ等で倒すのがセオリーでしょう。

スタミナもあるので、いろんな選手をダメージを与えつつ、最後はSANADAとの一騎打ちとなることを想定していたのでは?

SANADAのケース

オカダのライバルとなるSANADA。他の2人と結託してオカダを潰せればSANADAの勝率は上がりますが、それは他の選手も分かっているので、容易には乗ってこないでしょう。

矢野・デスペラードを潰しながら、最後はオカダとの一騎打ちとするのであれば、オカダと結託してデスペラードに二人でドロップキックを放つと言った戦略は効果的でした。

デスペラードのケース

この中では唯一のジュニアであり、実績もあまり残せていないデスペラードは、正攻法で勝つことは難しいでしょう。潰された振りをして場外で出来るだけ体力を温存。タイミングを見計らって漁夫の利を得るような、クレバーな戦い方が必要でしょう。

SANADAがオカダにスカルエンドを掛けている時に、開脚式ジャンピング・ボディプレスで二人もろとも潰しにかかる等が効果的でした。

矢野のケース

デスペラードをして「一番動きが読めない」と言わしめた矢野。直接対決では勝ち目が無いであろう矢野も、電光石火の丸め込みなら勝負がつけられます。実際丸め込みで勝利したのは矢野でした。

なぜ矢野が勝てたのか?

矢野が勝てたポイントは3つだと考えています。

  • オカダとSANADAが他の二人を潰せなかった
  • デスペラードがリングに上がり過ぎた
  • 矢野が試合をコントロールしていた

オカダとSANADAが他の二人を潰せなかった

他の二人を結託して潰し、オカダとSANADAの二人で最後決着をつければ良かったのですが、結局二人で戦う時間が長くなってしまい、矢野やデスペラードにダメージを与えることができませんでした。

デスペラードがリングに上がり過ぎた

前半は漁夫の利を得る戦いをしていたが、楽しかったのか、やむを得なかったのか、徐々にリング上での戦いが多くなってきました。オカダ相手にギターラ・デ・アンヘル → ピンチェ・ロコに行った時は色んな意味でチャンスと思ったのでしょう。

結果、オカダに捕獲され、変形コブラクラッチで捕らえられてしまいました。

矢野が試合をコントロールしていた

もちろん、決め手となった電光石火の丸め込みが重要だったのは言うまでもありませんが、オカダと組もうとしたり、そのオカダを攻撃しようとしたり、変幻自在の動きで、対戦相手を翻弄。

オカダとSANADA同士を戦わせることで矢野やデスペラードが潰されないようにし、パラダイスロックが解けてデスペラードがオカダと対峙している間も、↑の写真のように虎視眈々とチャンスを伺っていたのでしょう。上の2つのポイントも結果的には矢野が演出していたと言っても過言でないでしょう。

この複雑な状況下でも、試合をコントロールし、試合を読み切る矢野のプロレス脳には本当に参りました。

罠を張っていたタイチ

ゴールデン・エースの入場は凄かった!

お互いの曲をアレンジした入場曲に圧倒的なヒーロー感があり、お互いの入場ポーズも黄昏時の広い空に映える!

一方のタイチ側はいつも通りの入場。屋内の暗い場所には良く似合うタイチの入場曲も、爽やかな夏の神宮球場には似合わない。タイチもどことなく居心地が悪そうだし、入場するベンチのプシュプシュでる煙にザックも不機嫌そう(笑)。

「入場が8割」と言われるプロレスにおいては、入場だけならゴールデン・エースの圧勝!しかし、タイチは用意周到に罠を張っていましたね。

徹底した首攻め

解説のミラノさんも言っていましたが、それまでの試合は棚橋に対する徹底した脚攻め。しかし、この試合では開始早々から急角度のデンジャラスバックドロップ。棚橋も思わず首を押さえて、のたうち回る。場外に落としてからも徹底した首への反則攻撃。

タイチの技には脚を殺すフィニッシュホールドは無いし、ザックには多彩な関節技があるものの、前回の試合で脚をやられていて、的確にフィニッシュに持っていけるかは難しいと判断したのでしょう。案の定、脚を攻められるザックには関節技をフィニッシュとする程の力強さが感じられない。

肉を切らせて骨を断つ

序盤戦の徹底した首攻めののち、絶好調の飯伏から反撃を受けるタイチ・ザック組。棚橋・飯伏の技には華やかさがあるけど、誰を何の技で仕留めるか?と言う戦略性が感じられない。自分が出したい技を出したいように出しているように見える。

結局、タイチ・ザックは攻められているようで、実は上手くダメージが分散されていて決定打には至っていない。因果応報と棚橋が名付けたと言う掟破りのユニオーネの竜巻から、ゴールデンブレイドと、一見流れはゴールデン・エースに傾いているように見える。タイチのアイアンフィンガーも苦し紛れで、難なく飯伏が蹴り落とす。アイアンフィンガーで勝っても反則となってベルトが奪われることをタイチが知らないはずは無いが、蹴り落としたことでゴールデン・エース側に油断が生じる。

ハイフライアタックからハイフライフローでトドメを刺しにくることは、誰もが分かっていることだ。タイチはそのタイミングでザックメフィストで逆にトドメを刺すことを読んでいたのでしょう。

最後の場面、飯伏がタイチを抑えていればおそらく勝てた試合。画面の外なので実際の様子は分かりませんが、タイチはここが正念場だと必死だし、飯伏はこれでもう決まったと油断していたのかもしれません。あっという間にブラックメフィストの体制に入りザックを呼ぶタイチ。ザックメフィストで仕留めたあとの飯伏へのカバーもすかさずタイチが入り、勝敗を決しました。

タッグの奥深さ

棚橋は自身のPodcastで、中邑と組んでいた時には「序盤自分が好き放題にやって、最後は中邑に託す」と言うようなことを言っていましたし、飯伏も天才肌の感性の人間なので、緻密に戦略を立てると言うことは性に合わないのでしょう。酒を飲みながらでもお互いコミュニケーションを取ることが多かったタイチ・ザック組には、きちんとしたゲームプランを立てる余裕があったと思われます。

1+1=2の戦い方ではタッグはダメなんだな。と言うことを改めて思い知らされた試合でした。ワールド・タッグ・リーグが今年開催されるかは分かりませんが、今後はそうした視点で注目をしていきたいと思います。

とは言え、個人的にはゴールデン・エースに勝って欲しかった…と言うのもプロレスの面白さでしょうか?(笑)

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