前哨戦から、他の試合とは一線を画すギラギラの緊張感と一触即発感を見せていたザック・タイチ組とGoD。遂に決着しました。
タッグ挑戦権を賭けた戦い
まずはザック VS タンガ・ロア
パワー系の選手には、関節技を無理矢理に引き剥がされることもあり、苦手な部分もあったと思うが、タンガ・ロアはパワーだけで、技が無い分組みし安かったか?
とは言え、ロープ際での戦いを多くすることでロープブレイクをしやすくする戦略を取り、パワープラスロープで関節技を防ごうとするタンガ・ロア。それが意外に功を奏し、なかなか技が決まらない。
しかし、最後は電光石火の丸め込みで決着。ザックはタンガ・ロアのパワーに苦しんではいたものの、終始ザックペースの試合でした。
何が起こるか分からないラダーマッチ
前試合でザックが勝ち、勢いに乗れるのかタイチ。お互いにDOUKIと邪道をセコンドに引き連れての戦いの幕開けは、もはや不穏な空気しかない。
お互い相手の動きを見ながらの静かな立ち上がりから、一気にギアを上げてくるタマ・トンガ。スピードに勝るタマは次々に技を仕掛け、大ダメージを与えていく。そしてお互いのセコンドも乱入してさらにダメージを与えていく。
この試合は、通常の技の掛け合いではなく、「どちらがどれだけ耐えられるのか?」と言う受けの美学の戦いだったように思う。
タイチが鉄柵に括り付けられて万事休すとなったその時に、前試合終わった直後であるにも関わらず駆けつけたのはザック。そして迎撃するためにタンガ・ロアも現れる。普通の試合だったら、こう言う乱入劇は試合をつまらなくする要因の一つだが、今回はお互いがお互いを支えようとする友情であったり兄弟愛であったりして、むしろ感動すら覚える。体格差が大きく、見た目にやられるのが分かりきっているDOUKIがタンガ・ロアに果敢に向かっていくシーンは敬愛する兄貴を助ける弟分の愛が感じられた。
そして前半から既にグロッキー状態だったタイチが、己を鼓舞するために咆哮する。
相手を倒してからアイアン・フィンガーを取りに行く、と言うよりも常にアイアン・フィンガーだけを見据えて、相手にいくらやられようとも耐えて向かっていくタイチ。最後に「飯塚!」と吠えてから掴み取った勝利とアイアン・フィンガー。
GoDの兄弟愛が友情よりも劣る、と言うことでは無いが、この試合に関して言えばタイチの飯塚を思う力、ザックのパートナーを支える力、DOUKIの兄貴分を慕う力、その総合力の勝利だったと思う。
プロレスの形としては普通では無かったが、プロレスが伝えようとする各々を想う力が十分に伝わったベスト・バウト級の試合。花道を去る時のタイチに駆け寄るDOUKI、そしてパートナーの勝利を誇らしげな笑顔で先頭を颯爽と歩くザックの3人の姿を見た時に、そう確信しました。